GAMAMが注目するインド市場のデジタル化・DX化の今!シバニゴパルクリシュナ

新型コロナウィルスの影響により従来のサプライチェーンの課題が浮き彫りとなり、日本政府ならびに海外諸国で国内回帰・国内調達を推進する政策が打ち出されています。
日本の中小企業がコロナをきっかけに激変する経済・社会に対応して生き残りを図るため、オプティアスでは中小企業が市場を世界に求め、開拓していくためのサポートをおこなっています。
市場に打って出る前にはまず相手をよく知ることが不可欠です。
オプティアスは、将来、世界的に巨大なマーケットを形成するであろうインドについて、定期ウェビナーを開催しています。
本コラムでは、インド市場セミナー「GAMAMが注目するインド市場のデジタル化・DX化の今!」をご案内します。

2020年7月、グーグルは世界最後の成長マーケット、インドへ1兆円規模の投資を発表し、話題になりました。 グーグル本社はGoogle For India Digitization Fundを通じて今後、5年から7年にかけてインフラ、ビジネス・テクノロジーのパートナーシップやエクイティに投資をする予定です。

2020年6月GoogleはJio Platformsと事業締結を実施しました。石油化学製品から小売事業まで、大手系列リライアンス・インダストリーズの子会社、Jio社は2016年に定額のスマホ データプランを公表しインドのデジタル革命に火をつけました。グーグルの1兆円規模の投資の中からJioに4,500億円の投資を発表しました。両社は定額通信の4G・5G、アンドロイドスマートフォンの開発において協力することを発表しています。Jioは5G技術においてプレーヤーとなる目的を実現するために、グーグルとのパートナーシップを活用すると考えられます。

フェイスブックをはじめ、インテル、グーグル、General Atlantic,Silver Lake、KKR、アブダビ政府系投資ファンドなど世界的に有力な投資ファンドはJioに投資することを発表しました。フェイスブックはJioに対し5,700億円の投資を発表し、同社の株式10%を取得しています。コロナ感染によってインドの経済はマイナス4.5%になると予測され景気が後退しているにも関わらず、なぜ投資が相次いでいるのでしょうか?

長期的な視点から見ると国の底力、または著しい潜在能力などインドは魅力的な投資市場として考えられています。世界で二番目に多いインドのインターネット利用者がいるインドは、未開発の大市場です。2019年にインドのインターネット利用者数は5.6億人に達します。これは人口の約50%以下であり人口構成や技術導入の急増、劇的なスマートフォンの普及率は魅力的な投資対象国として考えられています。

■インドのデジタル化におけるそれぞれのデータ

・アダール(インドのマイナンバー) 12億人

・インターネット利用者数 5.6億人

・スマートフォンの台数 3.54億人

・1GBのデータ料金(一人当たり平均月間所得における割合) 0.1%

・データ購入者一人当たりのデータ消費量 8.3GB / 月

・ソーシャルメディアに費やす時間 17時間 / 週

インドで開発をするソフトウェアは他国にも展開ができる可能性があります。世界で最も大きいオープンな市場であることに加えグーグル、アマゾン、マイクロソフト、アップルのようなテック企業にとってインドの多様性、たくさんの公用語を持つインドの言語(英語、ヒンドゥー語、ベンガル語など22言語)は強みであると考えられています。

世界的ソフトウェア開発プラットフォームGit Hubは2020年2月にアップルが拠点を構えるインドのハイデラバード市にオフィスの設立を発表しました。

インドには約16.8万Git hubのアカウントがあり、アメリカ・中国に次ぐ世界の第三位のデベロッパーコミュニティーです。インドはソフトウェア開発は優秀な人材の宝庫であると考えられています。その理由は、英語、数学的知識が高く、柔軟性があり変化に適応しやすく、常に挑戦をする思考を持っている国民だからです。

インドには「キラナ」と呼ばれる日用品の小売店舗、生活用品を扱う店舗が生活圏内に存在し、インド国内に約1,500万の店舗があります。地域住民の生活に根ざした必需品や日用品の需要を満たしており、店頭販売以外にも、商品を自宅まで届ける配送サービスを提供しています。
現在のコロナ禍においては、日用品をオンラインで購入するユーザーが急増しています。これによりEC(通販)市場に刺激を与える一方、ロックダウンによる物資不足がECサプライチェーンの弱点を明らかにしました。しかし、地域に根ざしている小売店キラナは人々の生活圏内にあるため、ECや物流企業の課題であった緊急時の近隣住民のニーズに対応できなかった配達トラブルの問題を解決することができました。

インドでは最もダウンロード数の多いワッツアップを活かし、キラナ店舗のDX・デジタル化が行われています。JioとFacebookの両社はすでに保有をしている巨大なユーザーベースに新しいサービスを提供するチャンスを手に入れ、両社にとって消費者行動データの源となることが予想されています。

コロナ禍においてはインドの大手スーパーマーケット、リライアンスの食料雑貨事業やJio社が運営しているジオマートとフェイスブックが運用するチャットアプリ、ワッツアップとの連携が話題になりました。

ユーザーはワッツアップで、ジオマートの商品を注文し、引取先は、最寄りのキラナ店舗に割り当てられ、請求書をワッツアップで発送します。
この仕組みによってユーザーは最寄りのキラナ店舗とオンラインで繋がることが可能になりました。顧客が商品をオンラインで閲覧すること、商品に対する質問の回答を得ること、また支払いをオンライン決済にすることで、スマートフォンでのスムーズなデジタルショッピング体験が実現しています。

ワッツアップの決済サービス「ワッツアップペイ」。インドは4億人のユーザーがいるワッツアップの電子決済導入により、デジタル決済は増加が見込まれます。ワッツアップペイは決済システムの即時決済に加え、大手銀行と連携しユーザーの口座明細や小規模の融資サービスの試験を実施しています。銀行の支店が不足をしているインドの地方では、融資のニーズが高く、導入に期待が寄せられ、インド地方の消費者に金融デジタルサービスを届けることは、大手銀行とワッツアップにとって双方に効果があります。大手銀行側は資源を節約しながら融資の需要に対応が可能となり、ワッツアップ側はユーザーベースをマネタイズすることに繋がります。
またコロナ禍がきっかけで、ワッツアップのビジネスアカウントに登録をした中小企業は増加し、現在では約、1,500万の利用数に達しました。
ワッツアップは中小企業のニーズを満たすために、運転資金を提供することを検討しています。ワッツアップのフィンテック機能は世界で最も大きいインド市場のマネタイズに成功し、インドのフィンテック市場では今後、さらに競争が激しくなると予想されます。

左側のグラフ:コロナ感染の拡大につれて、紙幣の使用を避けるため、非接触による買い物を選ぶ方が多いためにデジタル決済の取引件数が増加をしています。

右側のグラフ:GooglePlay、PhonePe、Paytmのデジタルプラットフォームを利用したユーザー数

インドのデジタル決済アプリPhonePe、Mobikwik、Paytm。コロナショックを機に日用品や食材・薬などEコマースで購入するユーザーが増えており、オンライン決済を利用するユーザーが増えつつあります。

各企業は、キャッシュバックなどキャンペーンを通じて、ユーザーにオンライン購入を促し、顧客維持の向上を図っています。インド中央銀行のデータによると、2020年2月のコロナ感染拡大前と2020年5月のコロナウイルスが蔓延をした後のデータを比較すると、取引の総額が約2倍以上に増えています。

インド市場では、アメリカ、中国、日本に比べ、Eコマースの成長率が急増しています。コロナの感染拡大によって新規利用者が増加し、中小企業はアマゾンなどのオンラインマーケットプレイスを通じての商品の販売が増加をしています。また地方のサービス拡大によって、英語が母国語でない人の利用が増加するため、口頭で商品を検索する際の多言語機能や動画の閲覧・現地語のSNSの活用が重要視をされています。

インドのIT企業・金融機関はテレワークを積極的に導入しています。コロナ後、通勤の回数は週1~2回に減り従業員の一部はオフィス通勤には戻らないと予測されます。就業をする場所は大都市以外の地方でも可能となり、地方に住んでいる人材を採用することが可能になります。

インド政府は、中国企業が倒産したインド企業への買収を避けるために予防措置を実施しました。
2017年、2018年に中国企業のアリババ・テンセントがインドスタートアップへの投資額は43億米ドルと急激に増加をし、インドのユニコーン企業30社中、18社は中国の大手テック企業やVCから投資を受けていました。
2020年1月、中国企業からは6件の投資があったものの、6月には中国企業からインド企業への投資はインド政府の承認が必須となり、取引件数は0件となりました。

その一方でアメリカの企業からは投資が増加をしており、中国とアメリカのテック企業はインド市場で激しく競争をしています。
フェイスブック,グーグル,インテルといったアメリカ企業はJioに巨額の投資を行い、中国のテンセント、アリババが占めている利益に対抗をしています。インドのフィンテック市場を始め、Eコマース、5Gなどのテック技術で主導的地位を示している企業は、世界のテック業界において大きな影響を与えると考えられます。

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