M&Aアドバイザー活用法③

M&Aアドバイザーの選び方

前述のとおり、M&Aアドバイザーには証券会社、銀行、会計事務所、独立系業者など、実にさまざまなタイプが存在している。

インターネット検索で、「M&Aアドバイザー」や「中小企業 M&A」というキーワードで検索をかけると、数えきれないほどの会社名が表示されるが、サイトに書いてあることはほとんど同じような内容なので、正直どの会社にどんな特徴があるのか、違いが何なのかについてはちょっとわかりにくい(会社名も結構似ている)。

検索結果の上位に表示されている会社がよさそうに思えるが、私がお付き合いしている優秀なM&Aアドバイザリー会社が上位表示されないこともあるので、検索結果だけで単純に信用するのも心配である(もちろん、大手M&Aアドバイザリー会社や広告表示は別)。

では、会社の規模が大きい方が安心かというと、案件情報も多く、組織で受けてもらえるという点で安心ではあるが、中小規模のM&Aアドバイザーより優秀とは限らない。

前述したとおり、M&Aアドバイザーの能力にかなり個人差があるため、大手に頼んだからといって優秀なアドバイザーが対応してくれるとは限らないからだ。

私の経験で言えば、やはり「信頼できる人からの紹介」が一番望ましいが、インターネット検索で探す場合でも、電話の応対や面談の印象で最終的に任せるかどうかを決めればよいので、大手や中小のM&Aアドバイザリー会社を複数並行して比較検討してみることをお勧めする。

また、案件を進めるにあたっては「いつでも連絡が取りやすい」という点も重要なので、携帯電話やメールでこまめに連絡がとれるかどうかも契約前にチェックしておきたい。

なお、買収を希望している場合は、情報ソースが多ければ多い方がよいので、複数の業者に並行して打診しておいて、情報が上がってきたらその都度対応する方法が一番効果的と言える。

肩書きを過信しない

M&Aアドバイザーの名刺を見えると、公認会計士や税理士、MBAといった難関資格の肩書きが併記されていることがある。

M&Aの実務には会計や税務の知識が特に重要となるため、こういった資格を保有しているアドバイザーは非常に頼りになる存在である。

しかし、肩書きをあまりに信用してしまうと、思わぬ落とし穴に落ちることもあるので注意が必要だ。

以前、ある産業機器メーカーの社長から「M&Aで会社を譲渡したい」と相談を受けたときのこと。

会社の状況を聞いてみると、あと半月後の決済ができないほど資金繰りに苦慮していた。そこで、とりあえず支払猶予や役員報酬の支払いストップで対処したらどうかと提案したところ、「ちょっと確認してみます」という返事が返ってくた。

社員数名の会社で、資金繰りもかなり逼迫している状況なのに、社長が即断できないのはどういうことかと聞いてみたら、実は資金繰りは全て外部の財務顧問が担当していて、社長は全く資金繰りに関知していないことが分かった。

急いでその顧問とも面談したが、ふと見た顧問の名刺には、「○○大学講師」という肩書きに続いて「○○コンサルタント謙○○アドバイザー…」という呪文のような長い肩書きが一面に書いてあった。
後日社長から、顧問とともに再建を目指すと連絡があったのち音信不通となったが、結局約一年後に万策尽き果てて、自己破産したという。

もちろん、肩書きの長さが問題と言っているわけではない。
しかし、コンサルタントや顧問業というのは字面で仕事をしているわけではないので、肩書きの呪文の効き目がなさそうだと思ったら、なるべき早く別の専門家を探す方が無難である。

M&Aアドバイザーを選ぶ際も、その資格や肩書きだけでは判断せずに、M&Aや企業の再建に携わってきた実績や人脈、そして自社が生き延びていくために、どんな具体的提案をしてくれるのかを、しっかり見極めるようにしたい。

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