M&Aを成功させる人材育成No3

前回、「人材育成=費用」と考えるのではなく、「人材育成=投資」と考えることが重要だと思う。とお話しした。
今回は、このお話しを使って会計のお話しをさせていただきたい。
テーマは繰延資産!
 コンサルタントであり、社長でもあるMさんは、コンサルティングスキルUPの為、知識のブラッシュアップの為、毎月研修に積極的に参加し、5万円程度支出している。
 ある日、経理担当である奥さんに研修費を請求したところ、次のような話になった!
Mさん:ねえ、研修のお金精算してくれる!
奥さん:精算書頂戴!今月はいくらくらいなの??
Mさん:約5万円だね!
奥さん:毎月お金も時間もかかって大変ね!
Mさん:そうだね!でもここで学んだ知識が将来自分の糧になるんだよ!いずれはもっと大きな仕事にチャレンジするつもりだしね!!
奥さん:とはいっても、毎月5万円貯めていたら、1年したら安めの中古車なら買えるくらいよ!勉強したって形に残るわけじゃ無いのに・・・。
このように、今回のような“支出”については、Mさんの考え方、奥さんの考え方の2通りの考え方がある。
Mさんは『自分への投資』(=将来の収入増につながるという意味では、資産となりえる)と考えているのに対して、奥さんは『何も残らない消費』(=資産では無い)と考えている。

今回の会計的なテーマである“繰延資産”はこのMさんのような考え方に基づいて『5万円の支出を資産と見なす』方法である(つまり、繰延資産とは既にサービスの提供は受けて消費した後だが、将来の収入増加に貢献するという理由から資産に計上する例外的な費用で、数年かけて費用化することが出来る)。
であれば、会社の研修費用等は全て繰延資産に計上して、複数年で費用化すればいいのでは?との気になるが、そこは会計ルール的には許されておらず原則はこのような費用は全て費用処理することとされている(つまり、会計ルール的には奥さんの考えが原則であり、会計上繰延資産として計上できるのは、創立費・開業費・開発費・社債発行費・株式交付費の5つだけである。理由は繰延資産を乱用し費用を少なく見せて利益を多く見せることを防ぐためである)。
これらのことから『人材を育成するための研修費用等』はあくまで会計ルール的には、その期間の費用と認識しなければならないが、経営上の発想としては繰延資産と同じように考えた方が良いのではないかと思う!(研修費は将来の収入増に貢献する支出なんだ!と)。その方が研修を受ける皆も、『将来の収入増のために研修を受けているんだ!』という意識が芽生え、成果を意識することにつながると思うので!

執筆者:栗原 正幸
ビジネスサポート HANDS ON 代表

経営者向けコンサティング業務(経営計画策定及び実施サポート、財務コンサルティング)
人材育成コンサルティング業務を行っている。クライアントの成長を第一に考える。

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