皆さんも、一度は聞いたことがあるかもしれませんCCC。M&AのPMIで必ず注目されるこのワード。
まずはおさらいです。
CCCに日商をかけると、WC(運転資本)「額」になります。大企業を中心として、これをいかに短くし、資金効率を高める行動がなされています。WCのように「額」で出すと、その時の売上で変動してしまいますが、DAYで出せば、今までの決算書を見て自社のCCCが算出・比較できるのです。
CCCを改善しないまま(長くなっているまま)売上を上げても、CCC分運転資本が必要になります。すなわち、「カネが消えて行く」。これを、銀行などは「増加運転資金」といいますが、コロナで売上が落ち込み、ようやく売上が上がってきたな、と喜ぶ一方で、おそらく資金が急にタイトになるはずです。コロナ資金などで潤沢にお金がある会社さんはいいのですが、とっくに赤字埋めに使ってしまい、カツカツだったらどうでしょう。勝負ができないのです。「コロナ資金、いっぱい出したでしょう・・」と銀行にやんわり断られ、カネがないから勝負ができない。辛い状況ですね。
年商10億円の会社さん、日商換算で274万円。CCCを1日短縮すれば、274万円、Cashが出てきます。5日で1,000万円!資金繰りは現状よりは楽になるはずです。
M&AではFCF(フリーキャッシュフロー)が価格の決め手なので、IRRが10%としたら、この会社の価格は1億円Upする。買ったらCCCを改善し、事業価値を上げてBuyoutする。よくFAが使う手ではあるんですが資金繰りにも有効に作用します。
売上を上げる、収益を上げる、経費を削減する、などのP/L項目での資金繰り改善策もありますが、B/S項目の改善でもCashを増やすことはできるのです。なかなか売上が上がらない方も多い中で、CCCのような着眼点も「ポストコロナの資金繰り」には是非注目して頂きたいポイントです。
執筆者:山田 仁浩 (やまだ きみひろ)
フィネスコ株式会社 代表取締役
15年間の銀行勤務と、7年間の投資銀行勤務を経て、2011年「中小企業が気軽に使えるFAS」を目指し、当社設立。法的・私的をわず、ほぼ全ての事業再生策の実戦経験を持つが、本業は「そこまで行かせない経営手法の提案と実践支援」。家族4人のうち3人が社長の肩書を持つ「経営バカ一家」の家長でもある。