銀行から資金繰り表を求められたときの注意点

皆さんこんにちは!さて今回は、銀行は融資を受ける前提で重要となる「試算表」と「資金繰り表」について、銀行目線で解説したいと思います。


1.銀行はどこを見ているのか。

新規融資の時はもちろん、金融機関から事あるごとに求められる資料に、「試算表」と「資金繰り表」があります。
「試算表」は前年決算から直近までの財務状況、「資金繰り表」は、まさに「カネが足りてるかどうか」の見極めに徴求します。
試算表は顧問の税理士さんに作ってもらえればすぐに出せますが、意外に苦労するのが「資金繰り表」ではないでしょうか。
銀行の審査部の格言の中に「試算表はごまかせても資金繰り表はごまかせない」という言葉があります。PLとBSは粉飾ができるのですが、資金繰りはPLとBSが織り成すハーモニーなので、見る人が見ると、数字がずれたり合わなかったりします。「あ、嘘ついてる」と分かってしまうのです。
例を挙げてみてみましょう。
■で記したポイントは一例ですが、税込・税抜の調整はあるものの、トレンドはつかめるものです。■のポイントを試算表と見比べて、その乖離幅が大きい場合「疑ってかかる」プロセスに入ります。
「とりあえず、それらしく書いてだしちゃえ」という社長さん、見透かされてますよ。表の内容の前に、「この会社は誠実かどうか」を見ています。しっかり考えて出しましょう。

2.資金繰り表を作る真意

「実績」は試算表があるので比較的簡単に作ることができますが、問題は今後の「予想」「計画」「見込」です。この「将来の資金繰り計画」を書ききることのできない事業者の方がとても多いのに驚かされます。
いや、それは「カネ」の流れを理解していないからです。表現方法を知らないからです。
「俺はカネのことは経理に任しているから」は横着をしているだけ。私が会ってきたピカピカの決算書の社長さんに、資金繰り表の知識が無い方はいませんでした。

ちなみに前頁の資金繰り表は、とある小さな会社の経理の方が毎月予実資金繰り表を作っているのですが、「円単位」で計算されていて、すべての財務諸表との整合性を保っています。簿記のボの字もわからない専業主婦が、1円の誤差も許さない資金繰り表を作るまで、2年かかりましたが、毎月資金繰りに追われていたその会社、今は全く問題なし。
なぜなら、カネが無くなるにしても事前に「いくら足りない」が分かるので、仕入を減らしたり、売上を増やしたり、「おっつける」ことができるからです。

資金切り表をつくることは、将来を予測すること。たとえ2・3か月先でもしっかりとした予測が立てられれば対処のしようが出てきます。

資金繰りの苦労は、経営ストレスの中でもとてもハードなものです。その苦しみは「予期不安」すなわち「わからない事から来る不安」です。苦しい時でも逃げずに資金繰り表を作って将来を読む精度を上げましょう。問題解決の糸口がきっと見つかるはずです。

執筆者:山田 仁浩
フィネスコ株式会社 代表取締役

15年間の銀行勤務と、7年間の投資銀行勤務を経て、2011年「中小企業が気軽に使えるFAS」を目指し、当社設立。法的・私的を問わず、ほぼ全ての事業再生策の実戦経験を持つが、本業は「そこまで行かせない経営手法の提案と実践支援」。家族4人のうち3人が社長の肩書を持つ「経営バカ一家」の家長でもある。

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