まさしく「現金は王様」という意味です。現金(以降、カネ)は人間でいうと血液です。会社は大赤字でも債務超過でも潰れません。「カネが尽きた」とき、会社は潰れます。
まさに「失血死」です。最近の金融機関は担保を取りません。担保見合いでお金を貸す、ということをしないのです。
これは金融機関の「スコアリング」によるもので、担保力というより「償還能力」(償却前経常利益)「実質自己資本比率」(不良資産を控除した自己資本比率)に重きを置くようになったからです。ここで、「ゼロゼロ融資」を満額借りて現預金に積んでいる事業者の皆さんに向け、緊急アピールです。
「返済が始まったら一括返済しますよ」と思っていませんか?まさかの時に借りたけど、利用していないから「返す」。これ、待った方がいいです。ギリギリまで手元においておきましょう。
変な男気出して、一括弁済なんて、絶対やっちゃダメです。手元の現金から、約定弁済を着実に続ける。これで十分です。
というのも、これだけの有利な条件、多額の融資は、「危機だからこそ利用できた」のであり、返済したからと言って、同じ金額を借りれるはずがありません。
上述の通り、コロナ禍の「危機な雰囲気」は急速に薄れ、金融機関の本音は「いつまでコロナって言ってるの?」であることを感じて頂きたいと思います。
これからの融資の申出は、通常の審査です。更に「利上げ」も視野に入れる必要があります。金融庁は先日、地方銀行の幹部に「利上げ時の想定をしておくように」とお達しを出しました。
結構な金融機関が「与信費用の増加」として貸倒引当金を積み増ししました。どういう事でしょうか。
そうです。これから倒産企業が増えるので、着々と準備をしているのです。
危機はコロナだけではありません。
現金は最大の武器です。大切にしてください。
執筆者:山田 仁浩
フィネスコ株式会社 代表取締役
15年間の銀行勤務と、7年間の投資銀行勤務を経て、2011年「中小企業が気軽に使えるFAS」を目指し、当社設立。法的・私的を問わず、ほぼ全ての事業再生策の実戦経験を持つが、本業は「そこまで行かせない経営手法の提案と実践支援」。家族4人のうち3人が社長の肩書を持つ「経営バカ一家」の家長でもある。