前回、組織の成長はトップから(もしくはトップも一緒に!)というお話しをさせて頂いた。順番を間違えると組織がおかしなことになってしまうこともあるので、注意が必要である旨もかかせていただいた。
今回は中小企業の『従業員教育への取組み状況』について話を進めていきたい。
中小企業では社長(経営者)は、色々な形で学びの場を持っていることが多い。
経営者向けの会員組織・団体は沢山あるので、多くの経営者の方々は何かしら組織・団体に加入し、必然的に学ぶことになっている。
一方従業員の方々はどうかと言えば、新卒で(又は若い時に)入社してから一度も研修等を受けたことが無いという方も相当数いるようだ。
(実際、私のお客様でもお付き合いが始まった時にはそのような状況のことが多い)
従業員の方々は、経営者とは異なり所属する組織・団体もほとんど無く、自ら自発的にそのような組織・団体、異業種交流会、各種勉強会に参加しようする人もかなり少ない。
つまり、中小企業のビジネス環境では、会社が計画的に従業員教育を考えていかなければ、従業員の成長を加速させていくことは出来ない。(大企業は新入社員時の手厚い研修から始まり、成長段階に応じて様々な研修を提供することにより、役職にふさわしい経験と知識を身につけていけるようになっていることも多い。このような従業員教育の取組みがあるからこそ、大企業には平均的に優秀な人材が多いのであろう。)
ビジネスマンにとって、『ビジネス経験とその周辺の体系的な知識の習得』は車の両輪であり、リーダーとして適切な判断をする為にも、部下の指導・育成をする為にも、新たなビジネスを立案する為にも重要なことである。しかし中小企業の場合『ビジネス経験』だけで幹部管理職をこなしている方があまりに多いと感じる。これでは会社に貢献してくれる優秀な人材を育てていくことは出来ると思えない。
このようなことから、中小企業が成長発展していくためには意識的に人材育成をしていくことが必要だと思う。
加えて『人材育成=費用』と考えるのではなく、『人材育成=投資』と考えることが重要だと思う。人材育成をPL(単年度の費用)で考えずに、BS(将来に効果が及ぶ投資)で考えてみることで、『中長期的に必要なこと』だから、『通常の経費とは別にしよう』と考えることが出来るのではないだろうか?
私は、企業で最も重要なのは『人』だと思う。
だからこそ人への投資は惜しむべきでは無いと思うのである。
執筆者:栗原 正幸 (くりはら まさゆき)
ビジネスサポート HANDS ON 代表
経営者向けコンサティング業務(経営計画策定及び実施サポート、財務コンサルティング)
人材育成コンサルティング業務を行っている。クライアントの成長を第一に考える。