事業承継トライアル信託とは?

2022年12月22日(火)に、「第7回M&A思考サロン」を開催しました。
今回のテーマは 「事業承継トライアル信託」です。
 「事業承継トライアル信託」は、自社が営む事業を後継者や第三者に承継する場合、一気に経営権を譲り渡すのではなく、トライアル期間を設けて、双方で合意できたときに経営権の譲渡をおこなうための仕組みです。会社オーナー
(委託者)に経営権(議決権)を手元に残したまま、後継者(受託者)に株式(信託財産)を信託するといったスキームです。
 一気に経営権を譲渡し、その後の事業運営がうまくいくのかどうか、不安を抱えずに事業承継を実行できるというメリットがあります。
 まだあまり一般的ではない「事業承継トライアル信託」について、一般社団法人日本スモールM&A協会の染川代表理事を招いて「事業承継トライアル信託」の勉強会を開きました。

【事業承継トライアルの概要について】
最初に、染川代表理事より「事業承継のイロハ」から「事業承継トライアル信託」の活用までの説明をいただきました。

事業承継とトライアル信託
事業承継のパターンは一般的に以下の3通りがあります。
1.親族による事業承継(贈与や相続)
2.従業員による事業承継(贈与や相続)
3.第三者による事業承継(経営者交代タイプ:贈与や譲渡、M&Aタイプ:売却)
「事業承継トライアル信託」は、上記のどの事業承継にも活用可能です。

M&Aにも活用できる事業承継トライアル信託

昨今、TVCMやDMで経営者にとっても身近になりつつあるM&Aですが、同時に次の課題も浮かび上がってきています。

1.M&A専門業者は事業承継のメリットやデメリットなどにフォーカスした「テクニカルな提案」が先行し、当事者はM&A専門業者の進め方に不信感を抱くことも多い。
2.M&Aのマッチングサイトが話題になっているが、「いきなり価格交渉からスタート」で信頼関係の構築が難しい状況。
上記のように、「契約ありき」で話が進んでいくので「本当に引き継いでも大丈夫なのか?」、「もう少しじっくり進めたい」との不安が出てきています。
そこで「トライアル信託」を活用して「トライアル期間でじっくりと見定める」ニーズが発生しています。

トライアル信託を活用したら?

1. 猶予期間・お試し期間を設定できます。
2. 売り手(セルサイド)は、「いったん任せてみて、ダメなら元に戻せる」
3. 買い手(バイサイド)は、「自分自身でデューディリジェンス(買収先企業の価値やリスクを調査)ができる」

民事信託と商事信託(金融機関による)の違い

1.商事信託の受託者(財産の管理や運用)は、金融機関である。民事信託は、事業承継において、委託者は「現オーナー」、受託者は「後継者」となる。
2.商事信託はパッケージ商品が主流であるが、民事信託はフルカスタマイズできる。よってあらゆるケースにおいて自由に仮説検証プロセスが踏める。(懸念材料をいったん棚上げにして進めることもできるし、当初は見えてこなかった部分が見えてくることもある)。

執筆者:M&A思考事務局
「会社と会社をつなげて課題解決をすること」
「つなげて解決する」というM&Aの考え方を、多様な経営課題解決
に応用する思考法が「M&A思考」です。会員の皆様へ有益な情報配信を心がけます。

お問い合わせ

お電話または下記フォームにご記入ください。 また、フォーム送信の前にプライバシーポリシーを必ずお読みください。
[contact-form-7 id="10850"]