インド、ネットゼロ排出国への道のり
今回から6回にわたり、インドのESGに注目が集まる理由について日本との関係を中心に解説していきます。
昨年度、インドにおける再生可能エネルギーへの投資は過去最高の145億米ドルを記録し、16GWの再生可能エネルギーの発電容量を追加しました。投資額は2020年度に比べ125%の増加となりました。
資金の大部分は買収活動に対するものであり、Reliance New Energyをはじめ、Adani Green、ReNew Power、 Indian Railway Finance Corporationといったインドの大手企業は本分野のキープレイヤーとなっています。
新型コロナ後の電力需要の回復及び金融機関による化石燃料への依存を減らすことに対するコミットメントが再生可能エネルギーへの投資の急増の原因と考えられています。
2070年までにネットゼロ排出国になるという目標に従って、エネルギー産業を脱炭素化するために2030年までにインドは再生可能エネルギー450GWの発電容量を目指しています。
石炭に依存する国
その一方、この10年間においてインドの石炭消費量は約40%増加すると予測されています。巨大人口の途上国としてインドは低価格である確実な電力源、つまり石炭に頼っています。
再生可能エネルギーにおけるチャレンジと機会
2032年までにインドは太陽光発電又は風力発電により国のエネルギー需要の45%をまかなうことを目標にしています。この大きな目標を実現するために電池エネルギー貯蔵システムに418億米ドル、さらに再生可能エネルギーに1540億米ドルの投資が必要になり、毎年300−400億米ドルの投資が必要になると予想されています。
専門家によると電池エネルギー貯蔵システム又は揚水発電等の柔軟なエネルギー発電整備の上、再生エネルギー発電を支える「エコシステム」への投資が必要になります。
今年3月にインド政府は再生エネルギー業界にて外国直接投資を誘致すると発表し、同業界にどんな影響を与えるのか世界の注目が集まっています。
執筆者:阪口史保
Hoshitry Impact 代表パートナー
投資ファンドにて13年間にわたり、投資育成、ファンド設立に携わる。
現在はインドと日本を結ぶコーディネータとして、日本企業の事業開発を伴走型で支援。
南インド・バンガロール在住。