基本合意書を結ぶ
両社のトップ面談を終えて、譲渡の理由や基本的な譲渡条件が合意できたら、基本合意書を締結する。基本合意書は、通常LOI(Letter of Intent)やMOU(Meorandum of Understanding)と呼ばれており、買収監査(後述)に進む前提として締結するのが一般的である。
基本合意書の内容は、その名の通り「ここまでの交渉で合意できた内容について両社で確認しておく」ことを主たる目的とし、双方として真剣に進める意思の明示を意図している。買収会社にとって特に重要な項目は「優先交渉権の確保」で、基本合意書には必ず明記されている。
一般的な記載項目は次の通り。
①譲渡価格と支払条件・・・価格についてはレンジ(○○円から○○円など)で記載することもある。支払条件は、株式譲渡の場合:株価(一株○○円)・譲渡株数、事業譲渡の場合:譲渡総額(資産○○円、営業権○○円と記載する場合もある)を記載する。事業譲渡の場合は消費税がかかることに注意。
②譲渡予定日(クロージング日)・・・譲渡対価の決済日を記載。あくまで予定日なので、ある程度余裕を持った日程にする方が無難。
③譲渡条件・・・ここまでの交渉で合意した条件について記載する(特に記載すべき条件がなければ不要)。
④優先交渉権・・・一般的に、基本合意書締結日から2日程度を優先的な交渉期間として明記する。この間は、別の買収候補者との一切の接触、交渉を凍結する。
⑤法的拘束力・・・一般的に、基本合意書は「法的拘束力のない」覚書と解されているが、法的拘束力を有しているという意見もある。