海に溶けるプラスチックが切り札に!

新プラ法はバイオプラスチックの利用を促進!

2019年5月に政府が「プラスチック資源循環戦略」を策定し、3R+Renewableの基本原則と6つのマイルストーンを目指すべき方向性として掲げ、さらに2022年4月より新プラスチック法が施行されます。

新プラスチック法の趣旨については、プラスチック資源循環(環境省)のWEBサイトに次のように記載されています。

(出典:プラスチック資源循環WEBサイト)

わかりやすく言い換えると、「プラスチックは社会にとって欠かせないけれど、カーボンニュートラルと海洋汚染防止のために、プラスチックが関係する環境問題もなんとかしないとだよね! だから、3R(リユース、リダクション、リサイクル)+再生可能資源(紙・バイオプラスチックなど)の利用を促進しましょう!」ということです。

海洋汚染の観点では、鼻にプラスチック製マドラーが詰まったウミガメを救出する事案、あるいはウミガメや海鳥がビニール袋を海藻と間違えて食べて死んでしまうなどの被害をきっかけとして、廃棄プラスチック問題が世界的に沸騰しました。

さらに、マイクロプラスチック(海に流入して微細化したプラスチック)が魚の体内に蓄積し、それを人間が食べるということで将来的な健康被害が懸念されるなど、我々にとっても身近な問題になりつつあります。

そこで必要とされているのが、自然に還ることが可能なプラスチック=生分解性プラスチックです。つまり、廃棄プラスチックが海に流れ込んだとしても、微生物で分解されればよいわけです。

実はこれまでも生分解性プラスチックは製造販売されていましたが、その普及はなかなか進みませんでした。石油由来プラスチックと比べると、生分解性プラスチックのコストが倍以上もするのが最大の理由です。実際に、生分解性プラスチックの販売量は、プラスチック全体の1%未満にとどまっているそうです。(※1)

また、生分解性プラスチックとはいうものの従来の製品の多くは海洋での分解に数十年間はかかるという問題もあり、世の中に生分解性プラスチックが普及するための課題を抱えていたのです。

カネカが海で溶けるプラスチックを増産!

そうしたなか、最近、化学メーカー大手のカネカ(東証1部上場 証券コード4118)が明るいニュースを発表。「カガクでネガイをカナエル会社」というTVCMでおなじみの企業です。

同社の生分解性プラスチック「Green Planet????」(※2)は、100%植物由来の素材であり、海洋に投棄されても6か月から2年で9割以上が分解されるという優れもので、この製品の生産量を大幅に増やすというものです。

すでに社会実装されていて、セブンイレブンの約1万店舗にてセブンカフェ用のストローとして使われたりしていますので(※3)、皆さんも知らず知らずのうちにきっと「Green Planet????」を利用していると思います。環境意識の高い方もセブンイレブンのアイスコーヒーは安心して飲めますよね。

この生分解性プラスチックは、同社が独自に発見した微生物によるバイオ技術(微生物に植物油を与えて樹脂を組成)で産生されるというもので、この微生物は同社の事業所の土の中から発見されたという驚きの開発ストーリーです。さらに生分解性ではあるものの、ストローやフォークとして使える状態に加工する技術というのも強みだそうです。

ESGやカーボンニュートラルという世界的な潮流を背景として企業のESG取り組みに対する投資家の目線は厳しくなっています。コストは石油系プラスチックよりも高いものの、セブンイレブンのような大手企業は環境に配慮した素材の採用に取り組まざるを得ません。新プラスチック法の施行を追い風に、カネカの「Green Planet????」が新プラスチック法の切り札となっていくことが期待されます。


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