コロナ禍のM&Aの状況とコロナ共存社会におけるM&A戦略

2020年3月に本格的に新型コロナウィルスの拡大が始まり、早3年が経とうとしています。
その間、私たちの生活様式は様変わりし、手洗いうがいは当たり前になり、マスクも未だに外せない状況が続いています。
ビジネスシーンではDXが進行し、オンライン会議も日常となりました。最近ではコロナ疲れも過ぎ去り、コロナが当たり前になり、コロナと共存するビジネス環境となっています。コロナ禍では後継者がいない中小企業が廃業を余儀なくされるなど、改めて日本における後継者問題がクローズアップされました。
また、コロナで業績が悪化した会社をどうにか売れないか?という相談が増加しました。
しかし、企業を買収する売却するという大きな決断はやはりコロナが足かせになったと思います。やはり会って話をしないと前に進まないのがM&Aです。
オンライン会議だけでは済まない話がM&Aには多いと改めて感じました。現地視察やトップ面談など多数の交渉があり、厳しいやり取りもありますからオンラインの画面上だけでは難しいです。
人の肌感覚といいますか、表情や顔色を見ながら進めることで互いに信頼関係ができてM&Aを成功裏に終わらせると思いますし、それはM&Aアドバイザリー業務をやっている私共も一番大切にしていることです。
正直、人的接触が制限されたコロナ禍、M&Aを進めるのに通常の倍ぐらいの時間を有した感覚です。
特に、後継者問題は、経営者が高齢であることが多く、コロナ感染したら大変なことになりますので、面談などは非常に気を使いましたし、地方なら尚更、東京や大阪から行くのにも一苦労でした。

今となればコロナ前に後継者難で会社を売却した経営者は本当にコロナ前で良かったと仰っています。
さて、終息が見えないコロナですが、M&Aにおいてはようやくコロナとの共存を前提にお客様の買収意欲も増加してきました。特に、コロナ禍で傷んだと思われる業態へのM&Aは増加しています。
言わば振り戻しですね。安くなったところを買収したいということでしょうか。しかしながら、以前のような大手チェーンがスケールメリットを求める買収は、ないようです。また、中小企業経営者が抱える後継者問題を解決するM&Aもようやく移動に対する抵抗も薄れ、オンラインも活用しながら交渉できるようになってきました。
つまり、買収する側としては今がチャンスだと思われます。安く買えるとは言えませんが、コロナがなかったら問題なかった会社がこのタイミングでM&Aで解決したいという意志表示が明確になってきました。コロナ禍の不安が少し解消されM&Aをようやく考えられる状況になってきたのでしょう。   

また、来春よりコロナ融資の本格的な返済が始まりますのでその返済に不安がある会社も少なからずあり、スポンサーを探すM&Aも確実に増加することが予想されますし、実際、徐々に我々へのご相談も増えています。 
企業経営は既にコロナ共存とその先を見据え、M&A思考は益々重要になっていますし、多角的視点で一層の情報収集をして欲しいと思います。
10年先も生き残るために事業領域をM&Aを活用して広げることは経営戦略上必要不可欠で今はその絶好のタイミングだと思います

執筆者:島田 健作(しまだ けんさく)
株式会社ホワイトクロス代表取締役 / 株式会社オプティアス執行役員

M&Aアドバイザリー業務、事業再生を手掛ける。
中小企業再生の社会的意義に注目し、再成長戦略の策定と実行により、企業の再成長の支援をしている。

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