中小企業の生存戦略とは

2020/02/26

会社経営

キーポイントは 「ニッチ集中化・差別化・他社との連携」


多種多様な生存戦略を駆使して種の保全を続けている生物と同様に、中小企業も企業体として長く続けていくためには、それぞれの状況に合った生存戦略を選択・活用していく必要がある。
どんな中小企業にとっても有効かつ重要な戦略と言えるのが「ニッチ集中化戦略」と「差別化戦略」の2つの戦略である。
資金力や人員など、経営資源が限られている中小企業の場合、広い市場を相手に事業を展開していくのは効率が悪い。例えば、一般消費者向けネット通販事業を始める場合、家電や雑貨、衣料品、食料品など、あれもこれも販売してみたくなるが、星の数ほどあるネット通販サイト市場で、中小企業が楽天やAmazonと同じ品揃えで勝負しても結果は見えている。
しかし、「役に立って世の中にないモノ」をニッチ市場向けに集中的に投入すれば、競合相手を最小化できつため、経営資源を集中して効率的に勝負することができる。
そのニッチ市場で更に自社独自のサービスや商品を提供することで差別化を行う。
「他社がやっていない、役に立ちそうなこと」や「あったらいいのにないモノ」を探してみて、自社の特徴としていく。
また、「その分野では日本一になる」というのも極めて有効な差別化戦略なので、自信のある分野であれば徹底的に掘り下げてみることで、他社に真似できない特徴ある事業に作り上げていくことができる。
もうひとつ、中小企業の生き残り戦略で欠かせないのが「他社との連携」である。
経営課題に直面した際、他社と連携することで乗り越えることができないか考えてみると、意外とうまくいったりするものだ。
なんでも自社で解決するよりも、自社でネットワークを構築し、「こんな問題に直面したら彼に頼もう」という協力相手を見つけておくのも大切な戦略だ。
さまざまな経営者勉強会や団体の会合で、いつも隣に座っている顔見知りの社長が実は強力なパートナーとなる可能性もある。よく知っている間柄ほど、普段深い話はしないものだが、ほんのちょっとのきっかけや発想の転換で事業が始まったりするケースもあるので面白いことを思いついたり、新しいことをやろうと思った際には相談してみるのもよいだろう。

企業間ネットワークとM&A的発想法の重要性

事業の拡大や顧客増加という「顧客創造」に繋げる
事業の拡大や顧客増加という「顧客創造」に繋げる

M&Aの成功率について、よく「センミツ(千回に三回)」といわれることがあるが、実際、案件が数多くあるからといって、ホイホイと決まっていくわけではない。したがって、M&Aアドバイザーの作業の多くは商売にならずに徒労に終わる。
しかし、悪いことばかりではなく、空回りを長年繰り返していると、転んでもただでは起きないための所謂「打撃のコツ」というのが結構つかめてきたりする。
実は、M&Aの情報を集める過程において身につく「事業と事業を組み合わせて価値を産み出す」という思考プロセスは、「企業間ネットワーク」の構築に威力を発揮するようになるのだ。
前述したように、さまざまな事業や業界の特徴やメインプレーヤー、競合環境、業界特有の収益力や強み弱みについて知識を蓄積すると、名刺交換をした段階で自動的に「この事業ならあの事業と組み合わせると面白いぞ」という発想をするようになる。
この発想力が結果的に事業の拡大や顧客増加という「顧客創造」に繋がり、自社を中心にした情報網、すなわち企業間ネットワークという形に展開していくので、さまざまな経営課題の解決に利用できる「企業間連携」を創り出すことができるのだ。
M&Aのノウハウは、単純な企業買収だけではないのが、面白いところである。
実際に、M&Aにはならなかった場合でも「事業提携はした方がいいな」とか「この技術は、こっちの会社が活用すれば別の商売になりそう」というケースは多い。
M&Aというのは言い換えれば「事業と事業の組み合わせ」だ。
つまり、「会社と会社を結婚させる」ようなものだが、たとえ結婚(M&A)が最終目的であっても、単なるお付き合いや色んな意味でのパートナーシップの方がうまくいくこともあるのだ。
前述したように、M&Aは有効な経営戦略上の「手段」ではあるが、それだけで「目的」には成り得ない。
大切なのは「あの事業とこの事業を組み合わせたら、こんな事業に展開できるのは?」というM&A的発想で、その会社(事業)の生存戦略に必要なことは何かを考え、その実現に必要な「手段」としてM&Aや事業提携を適宜選択すればよいのである。

では、ニッチ集中化・差別化・他社との連携とは、具体的にはどんなことをして、どんな効果が得られるのか。
それについては、次回で説明していこうと思う。

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