M&A現場リポート③自己破産からの復活劇(後)

2018年09月24日更新

M&A

※実話です。

▶自己破産、しかし・・・

東日本大震災の甚大な影響は山本織物化学整染にもおよび、4月の売上は前年比4割減にまで落ち込んだ。もう自己破産は不可避な状況となったため、秩父にゆかりのある弁護士に自己破産申し立てを依頼し、スポンサーを見つけられない我々も、いよいよ万策尽き果てる事態に陥った。伝統ある秩父ちぢみが、ここでその歴史に幕を閉じる・・・。取り引きのある地元の中小零細企業も、無傷ではいられないだろう。山本社長の話では、一部の業者は倒産するかもしれないという。取引先からも「何とか続けてくれないか」と懇願されたとの報告があり、山本社長からも、どうにか続ける方法はないかと相談された。事実上打つ手はほぼない状況だったが、ダメ元で社員の中に事業を続けたいと思っている人がいるかヒアリングをしたところ、なんと数名が「自分でお金を出してでも是非やりたい」という意思を持っていることが判明したのだ。 絶望の暗闇に、僅かな光が見えた瞬間である。 この時点で自己破産の申請予定は確定、従業員も全員解雇することになっていたが、自己破産をした後すぐに受皿会社を設立し、破産会社から資産を買い取って事業を継続できないか検討を開始した。破産管財人の弁護士に相談したところ、ある程度の資金を集めて2ヶ月以内に事業を再開すれば、なんとか事業を継続することができる目処がたった。 まず、配送担当だった礒部氏が元従業員を取りまとめて、従業員による出資で新会社を設立。そして、破産会社の染色機械一式を買い取って、取引先に説明を行った。事業を継続するスキームも固まり、早急に実行することとなった。 自己破産会社からのEBO(エンプロイー・バイアウト=従業員によるM&A)である。
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