2018/09/03

M&A現場リポート②苦労はしたけど徒労に終わる(前)

※実話をもとにしたショートストーリー

▶始まりは突然に

みなさんは、自分が経営している会社がピンチに陥ったら、どういった対応を取るだろうか? 実は我々経営者は、売上を伸ばしたり事業を拡大するための勉強や努力は当たり前のようにやっているのに、「いざ資金繰りに困ったらどうすればいいか?」といったピンチ対応、すなわち「危機回避ノウハウ」については、ほとんど興味を示さない。そして、危機に陥った時に初めて真剣に考えるのだが、どうしていいか分からないという状態に陥ってしまうことも多い。 ある初夏の朝、事務所で仕事をしていると、携帯電話が鳴った。 懇意にしている電子機器メーカーの社長からだ。 相談があるというので話を聞くと、」その社長の知人が経営している九州電子産業(仮称)の経営がどうも危ないという。売上高60億円、取引先も数百社に及び中堅電子部品メーカーだ。 直接資本関係や取引関係があるわけではないが、気になるから一回会って相談に乗ってくれないか、ということなので、まずは電話で話を聞くことになった。 早速、同社の鈴木社長に電話で話してみると、まじめで大人しい感じの方で、口調からはあまり切迫感は感じられなかった。 彼曰く、現状特に問題はないとの話だったので、事情を伺っただけで電話を切った。他の案件で多忙だったこともあり、連絡をくれた電子機器メーカー社長にも報告して、当面は様子を見ようということで一旦は決着した。 しかし、その数か月後に事態は急変する。

▶判断を分けた選択

電子機器メーカーの社長から2度目の電話をもらった時、状況はすでに逼迫していた。 銀行からの運転資金融資(5億円)がストップしたため、一ヶ月後の決済ができないという。 取引先に支払ができなかった事実がばれたら、仕入も止まってしまうため、その瞬間、事実上倒産となる。
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