2018/08/20

M&A現場リポート①怒鳴る社長と泣く社長(前)

※実話をもとにしたショートストーリー

▶譲り手の心境

中小企業のM&Aで一番多い譲渡理由は、 「事業承継してくれる人がいない」というものだ。 継いでもらおうにも息子は大手メーカーの管理職で 今の仕事を辞める気はないし、 社内にも社長にふさわしい人材はいない。 では、廃業しようと考えてみるものの、 社員や取引先のことを考えると頑張らなければと思ってしまう。 そして何よりも、まだまだ借金もいっぱいあるので 今廃業したら返済の目処もたたない…。 「そんなわけで社長候補を雇ってみたが、 使い物にならないのでクビにしたんですよ」 今から数年前、ある知人の紹介で伺った 「株式会社日本橋製作所」の佐藤社長は、 一通り会社の歴史を語った後こう言って力なく笑った。 ゴム製品の販売を行っている同社は、 社歴40年、社員5名、売上規模2億円程度という典型的な中小企業。 十数年前に社長として同社に転職してきた佐藤社長は、 ゴリラのように見た目はゴツイが誠実で、 70歳までに社長職を譲ろうと思って数年前から 自分の後継者候補の採用を続けてきたそうだ。 しかし、採用する人材がみんな問題を起こすので頭を抱えていた。 最初の候補者は仕事ができないのに怒鳴り散らす、 パワハラタイプで社員からの反発も大きく解雇した。 次に、取引先からの紹介で高学歴社員を雇用したものの、 中小企業の風土に合わず、文句ばかり言ってさっさと辞めてしまった。 その次の候補者は仕事もできて、ハツラツとしていたので期待をしていたが、 女性社員からの「セクハラを受けています」という告発により解雇。 この間、無情にも数年が過ぎ去り、 いつもの間にか佐藤社長も70歳を超えてしまっていた。 そんな時、ある新聞で見かけた「M&A」という文字に興味を持って 知人に相談したところ、我々を紹介してもらったという。 早速、M&Aの手順や相手探しの方法、秘密保持契約、 そしてアドバイザリー契約書や報酬体系の内容説明を行い、 後継者を外部招へいする方針を変更し、 M&Aで事業承継を目指すこととなった。 佐藤社長としては、自分が思い描いていたリタイア時期を 大幅に過ぎてしまっているので、 できるだけ早くM&Aを完了したいという希望を伝えてきた。 この時点で10月、春には完了したいということなので、 実質半年で決着をつけなければならない。 早速、M&Aの相手探しをスタートすることにした。
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