2018/07/03

M&A成功のポイント②会社は「生き物」であるということを忘れない

▶収益を上げるのは従業員

会社というのは、個人または集団が集まって収益活動を行う営利団体だが、社長一人で商売をしているならともかく、ある一定の組織まで集団が成長している場合、商売を実際に行うのは従業員である。 M&Aの対象となり得る会社や事業は、通常ある程度の組織体になっているのが普通なので、会社や事業を買収するというのは、「従業員が創り出す収益システム」を譲り受ける行為と言える。 つまり、収益を上げるのは会社というハコではなく、他でもない従業員そのものであり、この従業員が最大限パフォーマンスを上げるようにステージを整備していくのが経営者の役割なのである。 話しは少しそれるが、2002年頃、「アジア最強の中盤」と言われていいたJ1ジュビロ磐田のパスワークはまるで全ての選手が同じことを考えているのではないかと錯覚するほど有機的につながっていて、バックラインから中盤、そして前線へとボールが流れるように繋がれていく様子は非常に美しいものだった。このジュビロ磐田のパスワークのように、従業員全員が有機的に繋がって活動すれば、きっと素晴らしい業績が期待できるだろう。 集団の目的が明確で、各自が自分の役割とまわりのメンバーとの関係を十分理解している組織。当時のジュビロ磐田は、企業経営の視点からも非常に学ぶ点が多かったのだ。そして、当時の指揮官である鈴木政一監督は、組織を有機的に繋げてパフォーマンスを最大限に生かした素晴らしい監督であった。 会社というのは、従業員の繋がりで創り上げられた、まさに「生き物」だ。 しっかり育てればまっすぐ育つし、成績も上がっていく。しつけを怠ると不良になってしまうし、栄養をうまく与えないと病気になってしまうのだ。M&Aで会社を譲り受けたら、まずこの「生き物」をどうやって育てていくか、愛情を持って考えてほしい。伝われば必ず答えてくれるはずなのだから。

▶「買ってやった」は禁物

以前、ある関西の金属加工会社に伺った時のこと。 会社の経営がピンチなので、スポンサーを探しているという情報を元に、当時懇意にしていた「技術系ベンチャーキャピタル(技術のある会社に対して投資を行うファンド)」の担当者を連れて行って経営陣と話をした。 ところが、その担当者は挨拶もそこそこに、まだ相談の段階だというのに「うちが出資したら、もっとバリバリやってもらいますよ」とか「現状の生ぬるい管理を見直して、徹底的にたたき直します」という“上から目線”で話を始めた。 確かに、苦境に陥っているのは事実だし、やる気があるのは大切だなぁと思いながら話を聞いていたが、「お金を出してやるんだから」という趣旨の発言が飛び出した途端、黙って聞いていた社長と専務の表情が変わった。明らかに不快感が顔に出たのだ。 これはまずいと判断し、話題を別の方向に誘導してその場は事なきを得たが、ほどなくして先方からお断りの連絡が来た。 当然である。むろん、形の上では救済型M&Aなのだから、ある程度厳しい条件が提示されるのはやむを得ないが、信頼関係を醸成する前にこんな物言いをしていまったら、まるで「金にモノを言わせた脅迫」のようなものだ。 違う歴史を持つ企業同士が、何らかの理由で「同じ会社(同じ企業グループ)」に統合されれば、大企業であろうが中小零細企業であろうが、どんな企業規模であっても「どっちが上で、どっちが下」という部分に拘るものだ。 住友銀行とさくら銀行の統合で誕生した「三井住友銀行」、興銀・第一勧銀・富士銀の都市銀3行を母体とする「みずほ銀行」、そして、東京三菱銀行とUFJ銀行を母体とする「三菱UFJ銀行(前進は「東京三菱UFJ銀行」)」。 まだ、玩具メーカー老舗のタカラとトミーが合併してできた「タカラトミー」、ゲーム大手と玩具大手が経営統合して誕生した「バンダイナムコ」など、「起業の歴史はM&Aの歴史」と言われれうように、日本でもこれまで無数の企業合併やM&Aが行われてきた。
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