2018/06/25

M&A成功のポイント①目的を明確にする

▶なぜM&Aが必要なのか?

まず初めのポイントは「M&Aの目的を明確にする」ということだ。繰り返しになるが、明確な目的無くしてM&Aの成功無し、ということは絶対に忘れないでほしい。 M&Aを検討する前に、現在の経営課題は何なのか、そしてその課題解決のためにはM&A以外の方法はないのかをしっかり検討し、他の選択肢と比較検討した上で実行の可否を判断する。 この検討プロセスでM&A的発想法を活用すれば、「情報と情報とを組み合わせる」という思考プロセスを経て、まったく別の解決方法にたどり着くことも考えられるのだ。 ある商社が液晶関連事業のM&A(買収)を検討していた時のこと。当初は、液晶に関連した電子材料の商売を伸ばしたいという目的でM&Aを目指していたが、検討を続けるうちに、事業そのものよりも、対象事業に携わっている担当者のネットワークに魅力があることが分かってきた。 諸々の事業もあって最終的にM&Aは見送られたが、その担当者を転籍により自社に迎え入れた結果、数年後、同氏のネットワークを活用した事業が拡大して大成功を収めてしまった。 M&Aをきっかけにしたものの、M&Aは実行しないで当初の目的(液晶関連事業の拡大)は達成できたのである。 「目的を忘れずに必要な実を取った」好例だったと言えるだろう。

▶5年後、10年後を考える

M&Aアドバイザーという仕事をやっていると、よく「今が売り時」という言葉を耳にすることがある。 現在がその事業の旬の時であって、企業価値の評価(すなわち値段)もピークにあるということだ。確かに売却してしまうオーナーから見れば、この解釈は実に正しい。 その通りである。 では、買収する側にとっても「今が買い時」なのだろうか。 当たり前だが、ノーである。 一番高い時(売り時)に買ったところで、そのあと価値が目減りして損をするだけかもしれないからだ。 譲渡する側が5年後、10年後についても、売上や利益を保証することは考えられない(それでは譲渡する意味がない)ので、もし買収後に事業の価値が下落してしまうと、そこから発生する損失は全面的に買収側が負うことになる。 無論、「今がお買い得ですよ~」などと言って売却する輩に問題があるのは明白だが、口車に乗ってあまり熟慮せずに買ってしまう方にも反省すべき点はある。 会社や事業をM&Aする場合、一番大切なのは「買収後にしっかり事業として成り立つか、成長していくか」。 M&Aした時点がピークではあまり意味がないのだ。もちろん、落ちていくことを前提に超格安で買収するという手法もあるが、それでも5年後、10年後にはどうするのかを考えておかないと、結局処理に困ってしまうという事態になりかねない。 したがって、M&Aを実行するときには、 自社の成長戦略をイメージしながら、5年後、10年後にしっかりした事業に育ってくれそうな会社(事業)を選ぶのが望ましい。 「そんな先のことなんて分かるわけない!」という声も聞こえてきそうだが、大切なのは「予測をして決断すること」であり、そうすることで仮に予想が外れていても、「事前に対処して予測を修正すること」が可能となるのである。
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