2018/05/14

M&Aの実行手順⑬クロージング・後篇

結構大変な最終条件交渉

DDの報告を受けて最終的な提示条件がまとまったら、いよいよ最終条件交渉に突入する。 幸いにしてLOI(基本合意書)の内容とほぼ同一条件で交渉がまとまれば最高であるが、残念ながら、前述のとおりDDの結果、大抵のケースでは「知らなかった何か」が白日の下に晒されてしまうため、LOIで合意した内容を修正する必要が出てくる。

そしてまた、大抵のケースで譲渡会社のオーナーは色々と条件変更を拒むのだが、ここからはもうお互いの熱意と、「ここまでの作業・経費を無駄にしたくない」という思いがどれだけ強いのかの勝負とも言える。 私たちM&Aアドバイザーは、ここでうまくいかないと「成功報酬」がもらえなくなってしまうので、当然、自分の経験と知識を総動員して、最善の結果につながるように必死で最大限の努力をする。

譲渡金額の減額については、減額の正当性について根気強く説明したり、退職金の上乗せや営業権の再計算で対応したり、顧問契約の期間延長や顧問料の上乗せを提示したりと、さまざまな条件を考えて一生懸命すり合わせをするのだ。 このような努力の結果、むなしく時間だけが過ぎて案件の検討見送り(業界用語で「ブレーク」と呼ぶこともある)になってしまうことも少なくないが、買収会社の社長と譲渡会社のオーナーの案件成就への熱意と、手前味噌ながら我々M&Aアドバイザーの頑張りにより双方が最終的に条件合意すると、晴れて「譲渡契約書」の締結へと進むことになる。 なお、金額面での合意がほど遠いなど、 どう考えてもこのM&Aを進めることがお互いのメリットにならないことが明確になったり、当初考えていた会社の内容と実際のDD結果が著しくかい離していて、当初の目的達成に至らないことが確実になってしまった場合など、無理に進めるとかえって双方のデメリットになってしまう場合には、この段階でブレークすることもある。 M&A検討に膨大な時間と労力、そしてコストをかけてきた場合は特につらい決断と言えるが、M&Aの実行そのものが事業の発展にプラスにならず、今後更に大きな問題に発展しかねないなら、「勇気ある撤退」をすることも戦略上きわめて重要な決断である。 そして、無理がある決断は多くの場合、失敗という形に帰結する。最後の最後、最終決断をするのは社長の仕事なので、冷静な判断を持って対処することをお願いしたい。
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