会社のピンチもM&Aを活用する~守りのM&Aとは~

2020年01月23日更新

M&A

前回は、M&Aを活用した成長戦略として、主にM&Aを仕掛ける側(買収サイド)からの活用法を見てきたが、譲渡サイド(売却側)から見るとまた違った使い方がある。  

(1)第三者割当増資でピンチを救う

会社を守る救済型M&A

会社経営をしていれば、当然のことだが、儲かる場合もあれば損をする場合もあり、いい時もあれば悪い時もある。 しかし、この悪い時が続き、経営状態が悪化して自社単独での建て直しが利かなくなってしまうと、最悪の場合、倒産という事態に陥ってしまう。 だが、こういった企業を救済すべく行われる「救済型M&A」というものがあることをご存じだろうか。

  よく、M&Aの話題になると、譲受け側(買収する側)の企業の成長戦略として扱われがちだが、前述のように経営状況の悪化から譲渡することになった(買収される側)企業にとっては「救済合併=守りのM&A」と考えることができるのだ。  

実際にあった例をあげると、2008年春頃、当社では社長の高齢化による事業承継を目的とした老舗企業A社のM&Aを手掛けていた。 譲受け候補先のB社も早々に決まり、交渉からわずか2ヶ月程度で最終調整に入る、という段階だった。 ところが、A社の社長がその段階になって譲渡の先延ばしを決断してしまったのだ。関係者一同、懸命に翻意を促したが、努力むなしく交渉は一旦ペンディングとなった。 そして、その数カ月後にリーマンショックに襲われることになる。 得意先から仕入先まで、A社を取り巻くすべての取引環境は一変し、会社の経営も一気に窮地に追い込まれた。 頼みの綱だったB社も、先行きの見えない状況はA社と同様で、とても他社のことを考えている余裕はないという理由でM&Aそのものが見送りとなり、いよいよ「倒産」という2文字が現実的なものとなった。 そんな折、従来から取引関係があったC社より、増資に応じるという助け舟が出る。過去に、その会社の成長をA社が助けたことが理由だったが、水面下でA社の財務担当者が必死で交渉を続けていたことも大きかったようだ。
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