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生存戦略③M&Aと「企業間ネットワーク構築」

M&Aで新しい商流を獲得する

M&Aの目的は企業の状況により千差万別だが、中小企業がM&Aを行う目的で特に多いのは「販路の拡大」だろう。自社単独ではどうしても獲得できない代理店権や取引口座を一定数に絞っている企業との取引口座獲得など、M&Aによって得られるメリットは数多い。

ただしこの場合、事業や会社を買収する手法(スキーム)に注意を要する。

一般的に、中小企業がM&Aをする場合は、その会社の株式を買い取る「株式譲渡」という方法と、その会社の事業(従業員、事業用の資産、事業ノウハウ等)だけを買い取る「事業譲渡」という方法がある。前者の場合は、会社のオーナーチェンジなので、従業員や取引先に影響を与えずにM&Aが実行できるメリットがある。

一方、後者の場合は、必要な部分だけを引き継ぐことができるメリットがあるが、従業員や取引先が継続できないというリスクが生じることがある。いわば、前者は「コップに入ったジュースをコップごと引き受ける」形だが、後者は「コップに入ったジュースを新しく用意したコップに移し替える」形なので、移し替え作業中にこぼしてしまう危険があるのだ。ひどいケースでは、半年後には取引先が半分しか残らなかったという例もあるほどだ。

このように、商流を引き継ぐという目的でM&Aを実行する場合は、そのスキームを十分検討してから実行に移さないと、取り返しのつかない事態に発展する可能性がある。特に、代理店権や許認可といった会社固有の財産は、事業譲渡では引き継げないことも多いので注意が必要である。

あらゆる情報をネットワーク構築に活用する

M&Aを検討したが、実際にはM&Aに至らなかったというケースも少なくない。しかし、その際に収集したM&Aに関する情報は、自社のビジネスを拡大するための新たなネットワークの構築につながる。大切なのはM&Aの検討過程において「事業と事業をつなげる」という発想をもって情報を活用しようという思考である。その情報を有効に活用しようとする中で、このような考え方をもって情報に接していると、自然と自社を起点とした情報ネットワークが構築されていくものだ。弊社の場合、他社と面談をした場合には、必ず「ゼロでは終わらせない」と肝に銘じながら話すことにしている。たとえM&Aに直接関係ない方向に話が流れても、自分のネットワークを使って何かを提案したり、誰かを紹介する筋道をつけたり、相手の話に新しい情報があればメモしておき、のちほど「何か・どこかに繋げられないか」を考えたり…と、さまざまな活用方法を考えるのだ。こういう作業をすることによって、紹介した会社から別の仕事がもらえたり、他の会社を紹介してもらったりという流れが出来上がり、また、新しいネットワークに繋がっていくのである。

M&Aに限らず、会社の経営をしているとさまざまな情報が入ってくる。そのような情報を「自分とは関係ない」と思わず、前述のようなM&A的発想でもう一度よく見てみると、意外にも自社の発展につながるような情報があるかもしれない。是非とも普段から「M&A的発想法」で情報に接し、あらゆる情報を有効的に活用することをお勧めしたい。