NEWS

M&Aアドバイザー活用法②

▶M&Aアドバイザーの種類

M&Aアドバイザーには大きく分けて「アドバイザー型」と「仲介型」の2つのタイプが存在する。

アドバイザー型というのは、売り手または買い手の専属アドバイザーとしてM&Aを進める業態で、M&A先進国である米国やヨーロッパでは一般的である。欧米ではM&Aアドバイザリー業務は、投資銀行(インベストメントバンク)が手掛けているが、日本では「銀行」と言うと「融資や預金、為替」を手掛けている印象が強いので、どんな商売をやっているのかちょっとイメージがつきづらい。簡単に言うと、「法人向けの株式発行、投資アドバイスを行っている証券会社」のこと(個人向けは「リテール(個人向け)証券会社」)で、通常の預金・融資を行っている商業銀行とは区別されている。なお、米国の大手投資銀行5社(モルガン・スタンレー、メリルリンチ、ゴールドマン・サックス、ベアースターンズ、リーマン・ブラザース)は、2008年のリーマンショックを契機に、リーマン・ブラザースは破綻、その他4社は商業銀行へ業態変換または吸収合併されており、現在はそれぞれ銀行の「投資銀行部門」として業務を行っている。

もうひとつの仲介型というのは、その名の通り譲渡サイド、買収サイド双方の間に立ってM&Aを進める、いわば「仲介」や「行司」のような役割を果たす業態だ。実はこの「仲介型」というのは日本独特の業態だが、友好的なM&Aが大半を占める日本の中小企業が関わるM&Aでは結構一般的である。

 

①大手のM&Aアドバイザー

一般的に大手企業同士や金額の大きいM&A案件の場合、大手証券会社やメガバンクがM&Aアドバイザーを務めることが多い。前述のとおり、元々M&Aアドバイザリー業務は証券会社の一業務だったこともあって、日本のM&A業界を創り上げてきたのも証券会社の出身者である(日本の場合、山一証券のM&A部隊が老舗M&Aアドバイザーとして有名であった)。銀行系では、メガバンクが「企業情報部」等の名称で対応するケースが多かったが、近年では地銀もM&Aアドバイザリー機能を持つようになり、地域密着型サービスとして実績を挙げる事例も出てきている。地銀の場合、顧客サービスの一環として小規模案件にも対応してくれるので、中小企業者にとっては使い勝手がいいと言えるだろう。

独立系のM&Aアドバイザー会社としては、GCAサヴァン(東証マザーズ上場)が有名。中小企業のM&Aを手掛ける大手M&Aアドバイザーとしては、レコフや日本M&Aセンター(東証一部上場)が老舗として有名である。大手M&Aアドバイザーは巨額のM&Aに関わるため、一般的に利用相反問題を避けるためアドバイザー型が大半(なお、GCAサヴァンはアドバイザー型だが、後者2社ともに仲介会社である)。

情報収集力、M&A関連の専門知識ともレベルが高いが、譲渡対価が大きい案件を主体に受託するケースが多い。

 

②中小企業向けM&Aアドバイザー

近年、中小企業専門のM&Aアドバイザリー会社(「ブティックファーム」または「ブティック系M&Aアドバイザー」などと呼ばれることが多い)が非常に増えてきているようだ。これは、事業承継問題をはじめとして、中小企業のM&A分野の重要性が増していること、そしてビジネスとして成り立つほどの市場ができつつあることの証左と言える。

ブティックファームは、大手が取り扱わない規模、すなわち中小企業案件をメインターゲットとしているので、案件の規模や報酬額についても状況次第で臨機応変に対応してくれる業者が多いのが特徴だ。ただし最近は、急速にブティックファームの数が増えているため、インターネットで検索してもかなりの数のサイトが表示されるが、あまりに多いのでどの業者がよいのか選択に迷ってしまうほど。知人や顧問等の専門家に紹介してもらうのが一番良いと思うが、そのような人脈がない場合は、基本的に自社の目的を理解してくれて、報酬もリーズナブルな業者を選択するのがポイントといえる。

 

③会計事務所系M&Aアドバイザー

M&Aの実行には会計や税務の検討からスタートするケースが多いため、会計事務所や税理士事務所がM&Aアドバイザー業務を行っているケースも多い。個人事務所から100名を超える人員を擁する事務所まで、規模や人員などその様態もさまざまだが、需要と供給の関係もあってその多くは東京や大阪など大都市を拠点にしており、地方の中小企業のM&A案件への対応には限界がある。

近年ではM&A需要の高まりを受けて、多くの公認会計士事務所や税理士事務所がM&Aアドバイザリー業務を手掛けるようになったため、地域密着型M&Aアドバイザーも増えているようだが、実績や経験、そして情報ネットワークなどM&Aアドバイザリー業務に関する力量には差があるので、選定の際には慎重に検討してほしい。