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M&Aの実行手順⑪デューディリジェンス(買収監査)・後篇

「検査入院」で具合が悪くなる?

通常、DDを実施する場合、事前に「要求資料リスト」を作成し、譲渡会社にリストに応じた準備をしてもらう。財務資料や勘定元帳はもちろん、信憑類、契約書類、従業員名簿や給与明細等々、要求資料は多岐にわたるが、中小企業の場合、リストアップ資料全部がそろうことは、皆無と言える。また、中小企業の管理部門は最低必要人員で構成されているため、大量の資料準備と提出を要求すると、ただでさえ日常業務で多忙な管理部門がパンクする恐れもある。さらに、DD資料準備のために管理部門の担当者が残業や休日出勤で対応することもあり、場合によっては通常業務に支障を来して、調査対応で会社の業績に影響が出る可能性もあるのだ。まるで手術のために検査入院したら体調が悪くなってしまうようなものなので、必要な資料を中心に準備をお願いし、状況を見て譲渡会社にあまり負担にならないように配慮することも大切だ。

 

DDの主な目的は、譲渡会社から開示されている資料だけでは分からない細かい情報収集や裏付け資料の入手および分析、買収を実行した場合のリスク洗い出し、そして資産の加算項目・減算項目の確認による企業価値評価の修正である。これらの目的に留意したチェックポイントをしっかり確認し、最終契約へ向けた条件交渉へ臨むことになる。

 

DDの費用はどのくらいかかる?

ところで、DDの費用はどのくらいかかるのだろうか? 一般的に、現地調査の日数は2日間から4日間程度であるが、膨大な量の会計資料、税務関連資料、法務関連資料のチェックをこの期間内に完了しなければならないので、通常は会計士や税理士数名(弁護士数名)でチームを組んで作業を行う。DDは現地作業だけでなはなく、現地で集めた資料の集計分析と、その結果報告書作成にまでおよぶため、現地作業以外にも1週間から2週間程度の日数を擁する。

 

このようにDD作業は結構な重労働で、作業負荷もかかるほか、調査内容は報告内容によってはそれなりの責任を負う必要があるため、費用としては、会計DDで200万円から数百万円(規模の大きい会社の調査では、1000万円以上かかる場合もある)、法務DDでも100万円から数百万円程度はかかると思っておいた方がよいだろう。

 

一見高く感じるかもしれないが、あとあとトラブルが発生した際の処理コストや労力を考えれば、事前にリスク回避できるメリットも非常に大きいのだ。